日中国交正常化40周年 北海道・中国交流デジタル資料館

北海道と中国との交流の歴史や
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交流物語
友好

翁琪忠氏作

北海道・黒竜江省友好提携25周年を記念し、札幌在住の書道家、翁琪忠氏に書いていただいたものです。

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北海道と中国の交流の歴史を紹介する資料室です。

交流物語

北海道と中国の心温まる交流の物語を10のエピソードで紹介します。

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交流物語 北海道と中国の心温まる10のストーリー

伝える、伝わる中国の文化 ~伝統を学ぶ~

中国の長い歴史と伝統に裏打ちされ、磨き上げられた様々な文化は、道民にも深い感銘を与えてくれます。最近では、その技や精神、文化を道民が学べる機会が増えてきました。学び、伝わり、広がり、多くの道民に親しまれている中国文化について紹介します。

中国武術を学び、伝える

北海道中国武術倶楽部には、3才から87才までの約300名の生徒が通っています。中でも『武術太極拳』では、中国の伝統とルールをしっかりと学び、競技選手や、公式審判員の資格を取得することを目指しています。

『武術太極拳』に取り組む子ども達の目は真剣そのもの。地域での大会、北海道や東北大会、全国大会と数々の大会に出場し優秀な成績を収めています。2010年にシンガポールで開催された『第3回世界ジュニア武術選手権』で優勝、2011年に上海で行われた『アジアジュニア武術選手権大会』でも銀メダルを獲得するなど、海外で活躍する選手も出てきています。『世界王者になる!』『全国大会で1位になって世界大会でも1位を目指す!』と子ども達の目標は高く、気迫が感じられます。

子ども達は、大会への出場に加え、最近では北海道内各地で開催されるアジアや中国の文化を紹介する様々な催しにも引っ張りだこです。2012年だけでも、札幌市内の中心部で毎年夏に開催される『札幌パフォーマンスカーニバル』や、札幌ドームでのプロ野球の試合に合わせて開催された『アジアンフェスタにも出場し、中国武術の技や美しさを披露し、多くの観客を魅了しています。

北海道中国武術倶楽部の館長である石山雅士さんは、『中国武術には、脈々と受け継がれる高い思想と技術があります。日々切磋琢磨し、これらを競技の中に活かしていかなくてはいけません。私は、この武術を多くの人に伝えたい、広めたいという思いでこの倶楽部を始めました。子ども達が大会で輝いているのを見るのがとてもうれしい』と語ります。指導者でもある石山さんの思いを、子ども達がしっかりと受けとめており、子ども達の礼儀正しい振る舞い、そしてパフォーマンスが終わった後にはじける笑顔がとても印象的です。いざ、世界へ!

白糠町民の健康の秘訣

太極拳は、ゆったりとした優美な動きで、全身をバランスよく動かすことから、北海道でも幅広い世代に親しまれています。白糠町では、町をあげて太極拳に取り組み、楽しみながら健康づくりを進めています。中華武術国家段位7段、中華武術国家1級審判員の資格を持つ張霞(じゃん・しゃー)さんが白糠町にやってきたのは2007年3月でした。町民の健康づくりと文化交流を目的として、世界伝統武術試合での金賞を受賞した実績のある張先生を講師に迎え、1年間、太極拳講座を開設することになりました。

町では、お年寄りから子どもまでたくさんの人たちが講座に参加し、一流の指導者の美しい動きを学ぶことができました。また、町の消防署でも持久力と体力の向上を図るための講習会が開催されました。日頃から様々な訓練を積んでいる隊員達は、「ゆっくりした動きだが意外とハード」「けっこうきついな」と感想を漏らし、ゆっくりと太極拳を体験していました。長丁場の現場やとっさの動作が必要な隊員達にとって貴重な体験の場となりました。

町民に愛され人気のあった張先生の帰国後も、白糠町では、張先生の精神を受け継ぐ生徒達により、教室が続けられています。太極拳は、高齢者が家にこもることなく、たくさんの人達と触れあいながら、一緒に楽しく健康づくりをする機会となっています。

中国茶を楽しむ

札幌市中央区にある中国茶専門店では、6種類に分類される中国茶を楽しめるほか、店内で月1回、中国茶を楽しみながら漢詩や中国エッセイの朗読会を実施しています。朗読会は、店内の25席あるイスが満席となり、毎回立ち見客がでるほどの大盛況。朗読の後に中国の伝統楽器である琵琶や二胡の演奏が行われることもあり、参加者からは、「中国の伝統楽器の生演奏を聞けてすごくうれしい」「日本語と中国語の漢詩の対訳が興味深い」「お茶の種類がたくさんあって驚いた。いつも違うお茶がでるので楽しみ」などの声が聞かれます。

2012年9月には、開店3周年と日中国交正常化40周年を記念し、札幌市資料館で朗読会イベントが開催され、会場に集まった約100名の参加者が中国文化に親しむ時間を楽しみました。店主で上海出身の李強(り・きょう)さんは、「北海道の若い人たちに中国のことを知ってもらうためには、発信の仕方が大切だと思っています。身近で手軽で少しおしゃれな中国茶を通じて、中国文化は知れば知るほど深くおもしろいと思ってもらいたい」と語ります。店内は、中国でよく使われる赤色や黄色の装飾は控えめにし、落ち着いた雰囲気になるよう心がけられており、「特別なものではなく、日常の一つとして中国茶を味わい、ゆっくりとした贅沢な時間を楽しみながら中国文化について理解を深めてほしい」という李さんの心づかいが感じられます。

道民を魅了する二胡の音色

中国の伝統的な楽器『二胡』は、日本でもとても愛され親しまれています。2012年、日中国交正常化40周年記念事業として札幌市内で開催された『遊弦コンサート』の会場は満席となり、二胡の匠・シューミンさんの奏でる音色に多くの道民が魅了されました。たった2本の弦から奏でられるどこか物哀しくもある優美な音色にあこがれて、北海道内にも、二胡を学ぶ人たちが数多くいます。

二胡の教室は北海道内にいくつかありますが、中国黒竜江省出身で、中国東北部において数々の楽団の首席奏者を務めた張煥(ちょう・かん)さんは、1998年に来日し、北海道と山口県を中心に二胡教室を開いています。2003年に開設された北海道の教室では、たくさんの道民が楽しみながら二胡を学んでいます。幼い頃から父親の影響で二胡を演奏してきたという張先生は『北海道に教室を開設した頃はまだきちんと二胡を教えられる指導者がほとんどいない状態でした。現在は、二胡教室も増え、自分にあった練習方法と楽しみ方を選べる環境になってきました。ぜひ多くの人に二胡を通じて中国文化に触れてほしい』と語ります。2011年秋、北海道と黒竜江省の友好提携25周年記念事業として札幌市内のショッピングセンターで開催した『中国まるごと体験フェア』では、張先生と同じく指導者である妻の亜紀子さんが、二胡のデュオを披露し、その美しい音色に多くの買い物客が足を止めて聴き入っていました。