日中国交正常化40周年 北海道・中国交流デジタル資料館

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翁琪忠氏作

北海道・黒竜江省友好提携25周年を記念し、札幌在住の書道家、翁琪忠氏に書いていただいたものです。

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北海道と中国の心温まる交流の物語を10のエピソードで紹介します。

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交流物語 北海道と中国の心温まる10のストーリー

北海道に中国がやってきた! ~初めて触れた隣の国~

1977年7月17日午前8時30分、ファンファーレが高らかになり、北海道の青い空に色とりどりの風船が舞い上がりました。北海道と中国の新たな交流の出発点として、『中華人民共和国展覧会(通称:北海道中国展)』が開幕した瞬間です。

道立産業共進会場(現在の『北翔クロテック月寒ドーム』)には、開催に向けて準備を進めてきた北海道と中国の関係者のほか、北海道にやってきた「中国」を誰よりも早く見ようと2,000名が参列しました。

中国と北海道が一つになって実現

北海道中国展を開催するにあたっては、北海道と中国の関係者が一丸となって準備を進めました。1972年9月29日に実現した日中国交正常化を機に、あまり知られていなかった隣国である中国について正しく理解し一層の友好交流を進めようと、展覧会の北海道開催を求める声が道内の各界、各層から上がり、当時の日本国際貿易促進協会北海道総局が1975年6月に中国国際貿易促進委員会の王耀庭(おう・ようてい)主任に文書で要請したのが始まりでした。その1週間後には北海道商工会議所連合会の友好訪中代表団、同年11月には北海道市長友好訪中代表団が相次いで中国を訪問して積極的な要請活動を行い、翌年、王主任から北海道開催の正式決定の通知がありました。

早速、現代中国を北海道に紹介し友好を深めるという目的での開催に向けて、北海道側と中国側との具体的な協議が始まりました。主催は中国側として、受け入れ側の北海道では『協力会』を発足し準備を進めることとなりました。北海道中華人民共和国展覧会協力会は、札幌商工会議所や、日本国際貿易促進協会北海道総局をはじめ、道内の主要機関185団体が構成メンバーとして参画し、堂垣内尚弘北海道知事(故人)が総裁に就任しました。

北海道民の8人に1人が来場

展覧会場の面積は約56,000平方メートル。中国らしい赤い大きなゲートが幾重にも設置され、会場内はお祝いと友好ムードにあふれていました。第1展示館となったドーム内には、国交正常化を祝う写真や友好の歴史を語るパネルが展示された『日中友好部門』、中国の食料増産の取組の様子や農林水産業の特産品などが展示された『農業部門』、中国最大の石油コンビナートがある大慶油田をはじめ重工業分野での発展を紹介する『重工業部門』の3つのコーナーが設けられました。また、屋外に設置されたアルプス型テントの第2展示館は、中国伝統の絹織物や日用雑貨・おもちゃなどが並ぶ『軽工業部門」、象牙細工や木彫・漆器・陶磁器など中国数千年の伝統工芸などを展示する『手工芸部門』、中国画・書・演劇などを紹介する『文化部門』の3つのコーナーで構成され、初めて見る中国の伝統的な文化や製品の数々を、来場した道民の多くは興味深くながめていました。

また、会場の敷地内には570席からなる映画館が特別に設置され、開催期間中、新しい中国の姿を伝える中国映画が総本数11本94回にわたり上映されました。中でも『曲技』や『雲南の動物生態記録』などの作品が人気で、映画館には約10万人が入場し、中国の文化や風景を楽しんでいました。

さらに、〈友好〉の花文字を作った花壇を背景とした『友好の広場』では、開幕式や様々な催しが連日開催され、また、『中国製品展示即売コーナー』では中国茶や、硯(すずり)や墨などの書道の用具、中国たばこ、漢方薬など中国ならではの製品が並び、好評を博していました。

開期中は、ちょうど、子ども達の夏休みの期間でもあり、会場はどの日も多くの家族連れで賑わいました。入場者数は約3週間で延べ64万2,169人。北海道民の8人に1人が来場した計算となります。

当時、北海道日中友好協会婦人部に所属し、何度も会場に足を運んでいた菊地栄子さんは、「会場は連日たくさんの人でにぎわっていました。道民が初めて【中国】に直接ふれた機会でしたし、私もこの時に買ったシルクの傘や着物をずっと大切に使っていましたよ」と北海道中国展が多くの道民にとって印象に残る出来事だったことを物語っています。

深く心に刻まれた友好

北海道中国展の開会式に向けて来道した中国展訪問団(王耀庭団長)を歓迎する前夜祭で、堂垣内北海道知事(協力会総裁)から、「両国の友好、交流は単なるムードではなく、不滅の信頼を重ねなければならない。この中国展は新生中国の自力更生を余すところなく紹介するものであり、参観する道民は多くを学び、理解を深めるでしょう」と挨拶があり、王団長からは「絶大な協力と熱情のこもった歓待を受け、心から感謝する」と答礼がありました。

訪問団の滞在中の表敬訪問は93件385名、友好交流は111件2,481名にものぼり、展覧会の開催に加えこうした精力的な活動により、北海道の各分野での中国に対する理解と友好が着実に深まった一大イベントとなりました。

中華人民共和国展覧会の要領

名  称 中華人民共和国展覧会
主  催 中国国際貿易促進委員会
協力団体 財団法人北海道中華人民共和国展覧会協力会
会  期 1977年7月17日(日)〜8月7日(日)
会  場 北海道立産業共進会場(札幌市豊平区東月寒271番地)
入場者数 642,169人

<参考資料:中華人民共和国展覧会報告書(財団法人北海道中華人民共和国展覧会協力会編)>