北海道と中国『友好の架け橋』 ~活躍する留学生達~
2011年末現在、日本全国の外国人登録者数は約207万8,000人。そのおよそ3分の1にあたる67万4,000人が中国からの来日者達で、北海道には9,000人あまりの中国国籍の方々が暮らしています。
また、北海道の留学生は全体で約2,700人。その6割に当たる1,600人が中国からの留学生です。
北海道では、中国ゆかりの皆さん、中国からの留学生の皆さん、北海道と中国を愛する皆さんなど多くの方々が連携を図りながら、北海道と中国の友好の架け橋として大切な役割を果たしています。
北海道の人達に、中国のことを伝えたい。
北海道で学ぶ中国人留学生達は、中国の文化や習慣などを広く道民に紹介しようと、いろいろな活動をしています。2009年の中国建国60周年にあたり、北海道内の友好団体や企業などが一体となって札幌市内で実施した“China Fes in Sapporo”では、中国の文化に触れて楽しむ様々な催しが1週間にわたり開催されました。
中国人留学生達が担当したのは、健球(ジェンチュウ)の大会です。健球は、おもりがついた羽根を足だけで蹴り合う子ども達の遊びです。会場となった札幌市中央体育館には、子どもから70歳を超えるお年寄りまで40人以上が参加しました。北海道で健球を広めようと活動を続けている王万英(おう・まんえい)さんら12名の留学生が、その歴史やルールを説明し、参加者たちは初めての中国の遊びに夢中になって汗を流しました。王さんは、その後もいろいろなイベントなどを通じて健球のデモンストレーションを行うなど、その普及に力を入れ、中国と北海道との交流推進に取り組んでいます。
2011年秋、北海道と黒竜江省の友好提携25周年の記念事業として、札幌市内のショッピングセンターで『中国まるごと体験フェア』が開催されました。この時も、留学生達が大活躍。ステージ上では、愛らしい中国獅子舞や、京劇、古箏の演奏が披露され、買い物に訪れた多くの市民や子ども達から拍手喝采を浴びました。また、ステージ前の広場では、留学生達による『ミニミニ中国語講座』や中国の将棋、中国結びの体験コーナーなどが繰り広げられ、集まった多くの人達に直接、中国の文化を伝えることができました。「こういう機会があったら、また是非、声をかけてください。もっとたくさんの人に中国の本当の魅力を知ってもらいたいのです」参加した留学生たちはキラキラと目を輝かせながら話していました。
札幌市の隣にある石狩市では、市民を対象とした『ワールド・フェスティバル』が毎年開催されています。各国から訪れている外国人たちが、それぞれの国のブースで文化や食べ物などを紹介し、ステージではパフォーマンスで自分の国を紹介する楽しいイベントです。10回目を迎えた2012年のフェスティバルでは、中国ブースがひときわ賑やかでした。ちょうど札幌大学を訪れていた17名の留学生達が、おそろいのTシャツを着て中国の紹介に奮闘しました。中国茶の試飲や中国結びの体験コーナーをつくり、子ども達に丁寧に教え、ステージパフォーマンスでは、中国民謡『茉莉花』に合わせての太極拳演武を披露し、『歌声与微笑』を合唱しました。
この他にも、地域のイベントや大学祭などで餃子をふるまったり、観光のモニターツアーに参加し中国人からみた北海道の魅力についての提言をしたり、中国からの訪問団の案内や歓迎会などにおいて、ボランティア通訳を務めたりと、中国人留学生達は北海道と中国との市民交流の推進役として活躍しています。在学中の限られた時間に、中国のたくさんのことを道民に伝え、そして滞在中に体験することができた北海道のことを、中国に帰った後に友人や家族に伝えながら、ずっと、架け橋の役割を果たしてくれています。
国際交流員の力
北海道庁では、1993年から友好提携地域である黒竜江省から毎年1名の国際交流員を受け入れています。交流員は道庁の国際課に勤務し、道内の市町村や民間団体が行う国際交流の事業に参加し、市民との交流を深めたり、小中学校を訪問して中国の文化や食べ物などをわかりやすく子ども達に伝えたりしています。
2012年までに道庁に勤務した国際交流員は18名にのぼります。交流員たちは、中国に帰国した後も、北海道と黒竜江省の友好の架け橋として活躍しています。
1999年に国際交流員を務めた王琪(おう・き)さんは、現在、ハルビン師範大学の教授として国際交流の仕事をしています。王さんは、友好提携を結んでいる北海道教育大学との学生交流において、先生として、学生のよきアドバイザーであり、交流の推進役にもなっています。
「住んだのはたった1年間。でも、北海道の生活は忘れられません。今や第2の故郷のようですよ」と語る王先生は、2012年、北海道と黒竜江省等が主催した『日中国交正常化40周年記念北海道フォーラム』にパネリストとして参加し、北海道の魅力と中国への情報発信の必要性、若い世代の交流推進について提言しました。
2011年、地域の小学校に招かれた黄巧亮(こう・こうりょう)さんは、『迎来黄巧亮』と大きく書かれた黒板に飾り付けをした教室で、子ども達に中国のクイズを出したり、一緒に餃子を作ったりしながら交流を深めました。
歴代の国際交流員たちも、すっかり北海道ファンとなり、北海道をPRするイベントには、強い結束で手伝いに来てくれることもあります。実際に北海道で体験した感想を生の声でアピールする歴代の交流員の皆さんは、北海道の心強い味方となっています。
いつまでも第2の故郷
北海道に住んでいる中国人の方は、「北海道の空気や水がおいしい」「海産物や野菜、お肉、牛乳と食べるものがみんな新鮮」「さらさらとしたきれいなパウダースノーが大好き」など、「北海道に来てとても良かった」と異口同音に語っています。
「北海道の人に中国のことを伝えたい」「中国の人に北海道のことを伝えたい」。友好の架け橋としての活躍は、こうした皆さんを通じてもっともっと広がっていくに違いありません。
近年の黒竜江省からの国際交流員の活動実績(抜粋)
○小学校での国際理解教室
札幌市立みどり小学校(2009・2010)
北海道大学病院院内学級(2009・2010)
札幌市立発寒西小学校(2010)
札幌市立八軒小学校(2010)
標茶町標茶小学校(2011)
江別市大麻西小学校(2011)
○中学校での国際理解教室
札幌市立南が丘中学校(2009)
当別町弁華別中学校(2011)
○地域での料理講習会の開催や、国際交流イベントへの参加
滝川町国際交流イベント「Ya!Ya!やぁ!」への参加(2010)
標茶町住民との料理講習会(2011)