日中国交正常化40周年 北海道・中国交流デジタル資料館

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翁琪忠氏作

北海道・黒竜江省友好提携25周年を記念し、札幌在住の書道家、翁琪忠氏に書いていただいたものです。

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交流物語 北海道と中国の心温まる10のストーリー

『ラーメン』と『ザンギ』に注目 ~身近にあった中国とのつながり~

『ラーメン』と『ザンギ』、北海道を代表するこの二つの『食』にも、中国との交流の物語が秘められていました。

「ハオ・ラー(できたよ)」

北海道の『食』と言えば「ラーメン!」と答える人は少なくありません。札幌ラーメンをはじめ、旭川、函館、釧路など地域ごとに特色のあるラーメンがあり、道民にも観光客にも愛され、親しまれています。今では、日本でも中国でも一般的に『ラーメン』と呼ばれていますが、その発祥や名前の由来にも道民と中国人との交流の物語がありました。

1922年当時、札幌市内の北海道大学前に深川出身の夫婦、大久昌治さんとタツさんが食堂〈竹家〉を経営していました。

最初、日本食を出していた大久さん夫婦でしたが、北海道大学にきている中国人留学生向けに中華料理を出そうと考え、中国人の料理人、王文彩さんを雇い入れ、本格的な中華料理を出すようになりました。中でも、王さんが作る麺に塩味のガラスープをかけた『肉絲麺(ロースーメン)』は大変な人気でした。『支那そば』とか『チャンそば』などと呼ばれていたことから、大久タツさんはこの大人気の料理にいい名前をつけたいと考えていました。

※写真は竹家食堂ものがたり(大久昌巳・杉野邦彦共著)より掲載

当時〈竹家〉では、料理ができあがる度に、ホールから少し離れた調理場にいる王さんが大きな声で「好了(ハオ・ラー/できたよ)」と叫んでいました。そこで、耳に残る「ラー」の響きに、麺を引っ張るという意味の『拉』という漢字をあてて、『拉麺』としてメニューに載せることにしました。その後、『ラーメン』とカタカナで書き直して出していたところ、しばらくして通ってくる留学生たちが「ラーメンをください」と注文するようになり、一層、親しまれるようになりました。これが、『ラーメン』という名前の由来の一つとされています。

王さんが作る美味しいこの料理にいい名前をつけて、「日本人にも中国人にも美味しく食べてもらえるメニューにしたい、この料理を友好の架け橋にしたい」と願う大久タツさんの思いが込められたエピソードです。

また、食べ物としての『中華麺』の記録は、1884年4月28日の函館新聞に残されていました。

函館市内の南京料理の店〈養和軒〉が掲載した広告のメニューの一つに記されていたのが『南京そば』です。これが日本で最初の中華麺の広告だと言われています。

函館ラーメンは、今でも『南京そば』の特徴を色濃く残した『塩ラーメン』が定番で大人気となっています。

大人も子どもも大好きなラーメンは、道民の生活の中にしっかりと根を下ろし、最も愛されている代表的な北海道の『食』です。〈竹家〉に登場する「ハオ・ラー」のエピソードを思い起こすと、さらに深い味わいを感じることができます。

『ザンギ』は、『幸運』との組合せ

『ザンギ』は、子ども達に人気の料理の一つです。日本では、北海道だけがこの独特な呼び方をしていますが、その正体は『鶏の唐揚げ』です。なぜ、北海道で『ザンギ』と呼ばれるようになったのでしょうか。

『ザンギ』の名前の由来には、いろいろあるようですが、1960年に釧路市内にある鶏料理専門店〈鳥松〉で、中国語の『炸鶏(ザージー)』に幸運の『運(ン)』を入れて『ザンギ』と名付けられたという説明が有力だと言われています。

〈鳥松〉は、『ザンギ』発祥の店として、今でも昔ながらの骨付きザンギを作り続け、人気を集めています。最近、釧路地域で『ザンギ』を郷土料理にしようと『くしろザンギ』と名付け、その推進母体として『くしろザンギ推進協議会』が設立されました。

くしろザンギ推進協議会の会長である白幡博さんは、ザンギと釧路の魅力を先頭に立って広める活動を進めています。「食文化は、国によって違いながらも、1番わかりあえるところではないでしょうか。中国から入ってきた食文化が、日本でいろいろな形になって、また、中国に帰る。まさにこれが食の交流ですよね」と笑顔で語っています。

「ザンギは、中国の料理からヒントを得て北海道ならではの発展を遂げたもの。中国の人達に、“中国と関わりのあるザンギが、こうして地域に根付き、北海道じゅうで愛されていますよ”と大きな声で伝えたいです。そして、今度は、中国の人達の間に北海道のザンギが浸透して、釧路に食べに来てくれることを願っています」と、食で結ばれた中国と釧路の絆について話していました。

鶏の唐揚げに名付けられたはずの『ザンギ』という名前は、最近では、北海道で獲れる魚介類などを唐揚げにして『鮭ザンギ』『タコザンギ』『蝦夷鹿ザンギ』とも呼ばれるようになるなど、さらに進化し新しい形となって、多くの人達に親しまれています。

中国語に日本語の『幸運』を組み合わせてできた『ザンギ』。食卓やパーティに並ぶと、子ども達の歓声が聞こえ、大人達のお酒がすすみ、なごやかな楽しい場になっていく-北海道の『ザンギ』にはそんな不思議な力が秘められています。

<関連ホームページ>

くしろザンギ推進協議会

北海道ザンギ連盟