公益社団法人 北海道国際交流・協力総合センター
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北海道国際情報ネットワーク
2013.08.08
札幌初!イフタール・パーティー~断食明けの夕食会
8月7日(水) 18:15~20:30 於:アートホテルズ札幌
札幌で初となる「イフタール・パーティー」がアートホテルズ札幌(加森観光㈱・中央区南9西2)で開催された。主催は宗教法人日本ムスリム協会(本部・東京都)で協賛はムハンマド・ビン・ラシード・アル・マクトゥーム国立人道慈善団体。ムハンマド氏はドバイ首長国首長であり、UAEの副大統領兼首相。諸外国におけるイスラームの普及に熱心に取り組み今回の宴のスポンサーである。この日は札幌在住ムスリム4名(日本人3名、インドネシア人1名)と招待された20数名の関係者らが参加した。「イフタール」という言葉はアラビア語でラマダーン月(断食月)の日没後最初に口にする食事のこと。日本でも2005年から首相官邸で毎年「イフタール」食事会を開催し、今年も7月31日に安倍首相が多くの駐日大使らを招いた。
冒頭に宗教法人日本ムスリム協会札幌連絡事務所代表のタウフィーク須見さんからラマダーンについて「私たちムスリムは太陰暦第9月がラマダーン月と定められ、六信五行に基づき断食斎戒を行います。厳格なイメージがあるイスラームですが、実際は非常に柔軟性に富む教えです。たとえば、ハラール(イスラーム的に許されること)に関しての判断は、個人の知識と経験が基準となります。仮に知らずに禁忌食を口にした場合、それは許されます」などと説明した。
当日の日没時間は18時49分、時間になると須見さんを含む4人のムスリムは日没の礼拝を行うために別室に移動。その間招待客にはフルーツの盛り合わせが供され、断食斎戒明けの雰囲気を味わった。ほどなく祈祷を終えた4名のムスリムが戻ると、ホテルが用意したスモーガスボードに料理が運ばれ始める。須見さんが「ふつうは乾杯というところでしょうが、我々ムスリムはお酒を飲めませんので乾杯なしでどうぞ。お食事の方を始めてください」と笑いを誘い、和やかに会食が始まった。
アートホテルズ札幌を運営する株式会社加森観光は昨年から、近年増加傾向にあるムスリム旅行者対応の一環としてハラールに気遣った食事を提供している。この春から、北区でインドネシア料理店を営むウィディアさんを「ムスリム・フード&トラベル・アドバイザー」として迎え、「ムスリム・フレンドリー」な食事の開発に取組んでいる。今回提供された食事もウィディアさん監修のもとに調理された。アルコール分を含まない調味料やハラールミートを使用するなど、コスト高にはなるが品質と安心感は高いという。「昨年は2000人位のムスリム客がルスツリゾートに宿泊しました。礼儀正しく、こちらからの好意には必ず感謝で応えてくれ、大変すばらしいお客様だと思いました。これからさらに多くのムスリムの方々に喜んでいただけるよう努力したい」と加森観光株式会社社長室長の仙野雅則さんは話す。
メニューの中にはタコの刺身やツブ貝のサラダなど、道産食材を有効に利用した料理もあり、参加者からは「おいしい」「素材がいい」など賞賛の声が上がり、用意された料理は1時間ほどで完食された。最後に須見さんが「最近イスラーム、ムスリムに対する理解を深めるセミナー等を多く見かけ、喜ばしいことと思います。イスラームはあくまで信仰なので、セミナー等で紹介される表面的な部分は信仰の一部分にすぎないことにご留意いただいた方がよいかと思います。今後も「ムスリム・フレンドリー」をキーワードに互いの理解を深めていくことを願っています」と挨拶し、札幌初の「イフタール・パーティー」は終了した。